借地権と相続 ②
今回は前回の続きです。4つの方法の③の説明からです。
③借地上の建物を第三者に賃貸して、その賃料収入を分割する。
借地上の建物を第三者に賃貸する方法ですので、建物を賃貸できる状態にしなければならないという問題があります。
そのままでも貸せるぐらいの状態であれば問題はないかもしれませんが、築年数のある古い建物など、そのままでは貸すことができない場合には、賃貸用物件にするために建物のリフォームをする必要が出てきます。その場合には、リフォーム代金を負担する必要がありますし、リフォーム工事内容によっては、地主の承諾が必要なこともあります。また、リフォーム工事に多額の工事代金がかかり、金融機関からの借り入れが必要になった場合には、借地上の建物に抵当権を付ける必要が出てきたりします。この抵当権の設定に関しては、金融機関から地主の承諾を得るように求められることが多くあり、その場合に、地主から承諾料を求められることもあるようです。
加えて、賃借人を募集する場合には、不動産業者を利用したり、管理会社に賃貸管理を任せたりすると、その分の費用がかかります。
したがいまして、この方法による場合は、賃貸物件としての価値が高い場合、少なくとも支出した費用分を賃料収入から回収できる状態でなければ、費用倒れになる可能性があります。
④特定の相続人が借地権及び借地上の建物を相続し、その者が他の相続人に代償金を支払う。
これは、相続人が借地地上の建物を利用しており、引き続き利用する必要がある場合に検討されていると思います。
この場合には、代償金の金額をどうするのかという点、つまり借地権の価値をどのように算定するかが問題となります。不動産鑑定士に依頼するケースもあるかもしれませんが、路線価をベースに算定していることが多いように思います。その上で、支払に関しては、遺産分割全体の中で考えていく問題になっていると思います。
以上、前回と今回で4つの方法について説明してきました。この他にも、4つの方法を混ぜたようなものなどが考えられると思いますが、ご相談頂くようなケースでは、地主の意向、遺産分割の方向性、相続人間の力関係や借地権の価値など様々な要因が複雑に絡まっていたように思います。もちろん、すんなりといくケースも多くありましたが、何かに迷われたりした場合には、一度、専門家に相談されるのがよろしいかと思います。
以上
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