第10回目 地主が借地権を買戻す場合の注意点について解説
今回は、借地権を買い戻す際のポイントについてお伝えしたいと思います。
借地権の買戻しについては、借地人に対して支払う対価(代金)が話し合いにおいて大きなポイントになると思いますので、買戻しの対象である借地権の価格が重要なのはもちろんですが、話し合いの方向性にかかわる以下のポイントも重要だと思います。
ポイント1
まず、第1に、買戻しの話がどちら側から出たのかという点です。地主から買戻しの提案したのか、それとも借地人から借地権の買取りの話をしたのかということです。
地主は、基本的に借地人から借地権を買い戻す義務はありませんので、借地人から金額を含めて提案があったとしても、それに応じなければならないわけではありません。他方で、地主が借地人に対して買戻しを提案しても、地主には借地人に土地を利用させる義務がありますので、借地人が応じない以上、買戻しはできません。地主としては、借地人が応じてくれるように、引っ越し費用などを考慮して増額を検討することもあると思います。
ただ、借地人が買取りを希望していて交渉が進まない場合には、以下でも述べますが、借地権を第三者に譲渡するという話になっていく可能性があります。
ポイント2
第2に、借地契約における賃貸借期間がどれだけ残っているのかということも考慮すべきことだと思います。例えば、期間がまだ10年以上残っている場合であれば、借地権の買戻しという話です。しかし、あと2年くらいで期間が満了するという場合であれば、退去も視野に入れた話になると思います。この場合には、正当事由の有無も含めた立退費用や借地上の建物の買取りなどの問題にもなっていく可能性があります。
ポイント3
第3に、地主は買い戻した後のことも考えておくべきことだと思います。特に、建物を解体する可能性があるのであれば、そのことも事前に考えておくべきです。その際には、解体の費用まで考えて、金額について話し合った方がいいと思います。また、借地上の建物を利用する場合でも、建物の状態などからリフォーム工事が必要であれば、その点も考慮しておくべきことになると思います。
これらに加えて、話し合いが進まなかった場合も考えておくべきだと思います。特に、地主が借地権の買取りに応じなかった場合には、借地人が当該借地権を第三者に譲渡することが予想されますが、この場合、地主としては、借地権の譲渡を承諾するのか否かという問題になります。さらに、話し合いが難航した場合には、借地非訟事件に移行し、裁判所での解決ということもありえます。
以上お伝えしてきましたが、買戻しの対象である借地権の価格のみならず、以上の点も考慮しながらお話し合いを進めると、無用なトラブルを避けられるのではないかと思います。
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