実家である借地権付戸建を売却したいと考えております。売却までの流れを教えて欲しい。また、相続人である母親は施設に入居しており意思表示ができないのですが、それでも売却は可能でしょうか。
目次
1.借地権の売却の流れ
2.借地権の売却
3.相続予定者が認知症の場合の手順
4.相続後の売却について
5.ワンストップサービス
1.借地権の売却の流れ
借地権とは、建物を建てる目的で相応の地代を支払い地主側から土地を借りる権利で、相続時に相続税の対象となる財産。当然売却はできますが、売却をする場合、必ず地主側から売却(譲渡)の承諾を受けなければなりません(民法612条に規定)。
借地権を売却する場合、売却後に買主側が借地権をうまく利用出来る内容の借地権でなければ売却しづらく、上記の譲渡承諾の他に、地主側から以下のような承諾を得る必要があります。
地主側に承諾していただく項目、すり合わせなければならない項目は、概ね以下の内容となります。
1,譲渡承諾(名義書替承諾とも言います)
2,建替承諾(増改築承諾)
3,期間延長承諾(更新料の清算)
4,借地条件変更承諾(次の段落参照)
5,抵当権設定承諾(買主側が住宅ローンを利用する場合、建物に抵当権を設定することを承諾する旨の承諾書を地主側からしていただく必要があります)これらの承諾料は、売却後の借地条件を踏まえ地主側と打合せをすることとなり、内容により上記承諾に係る承諾料が変わってくるものです。
各種承諾料の詳細については、こちらをご覧ください。承諾料について:https://shinseiland.com/land/fee/
契約内容を期間や目的などそのまま次の方に引き継ぐ場合もありますが、売却する借地権の殆どは、買主側が安心してその借地権を利用できるようににしなければ、売却が困難になります。条件の悪い借地権を購入しようとする方を見つけることは困難だからです。
地主側と借地条件(買主側と地主側との借地条件)の擦り合わせをおこない、これと並行し、上記各承諾料も決まっていくことが殆どです。
① 借地権の目的
次のものがあり、そのままの引継ぎなのか条件変更をお願いするのか。
非堅固な建物(木造や軽量鉄骨造建物)所有目的
堅固な建物(鉄筋コンクリート造や重量鉄骨造)所有目的
※ 非堅固な建物から堅固な建物へは、条件変更承諾料
② 期間(まずは現行の契約期間を踏まえ)
現行の残存期間を引き継ぐのか?
残存期間の短いものを購入する方は少なく、買主側への引継ぎ時点から20年(非堅固な建物所有目的)に延長するのか?(非堅固目的から堅固建物所有目的に変更をした場合、法律上期間を最低30年にしなければなりません。)
※ 期間延長の場合は、期間延長料
③ 地代
昔からの借地権であるほど、現行の地代(借地料)が低く、買主側との地代はいくらにするのか?
④ 建替え、増改築
ご相談を受ける借地上の建物は古い事が多く、売却に際し、買主側が建て直しや増改築をすることが必須な場合が殆どです。
※ 建て替え承諾料(増改築承諾料)
このように売却する場合は、地主側との多彩で詳細な打ち合わせが必要となってきます。各承諾料については、法律でも決まりがないので、当社のような第三者が間に入って決めていくことをお勧め致します。
※ 借地権を売却するタイミングは、見方を変えると地主側にとっては底地を売却したり、借地権を買取ることで完全な所有権に戻せるチャンスでもあります。当社は地主側に対しても、このタイミングで一緒に動くことで、資産の見直しを提案をしております。今回のご相談いただいている借地権付戸建の地主は、底地を売却しないし、借地権を購入することもなかったのですが、借地人・地主双方にメリットがあるようにご提案をさせていただきます。
2.借地権の売却
借地権の売却(処分)方法には4つのケースがあります。
① 借地権を「第三者」に売却をする方法
土地所有者(地主)から承諾を得て、「第三者」に借地権を売却します。譲渡承諾料などを地主に支払う必要があります。
② 借地権を「土地所有者(地主)」に売却をする方法
地主には、借地権を優先的に買戻せる権利(介入権といいます)があります。地主が借地権を買戻して、賃貸マンションなどを建てることもよくあります。地主が買戻す場合の諸条件がまとまらない場合は、地主は、第三者への売却を相応の条件で認めなければなりません。
③ 借地権と底地を同時売却する方法
借地権と底地を同時に「所有権」として「第三者」へ売却をする方法です。「借地権」や「底地」はそれぞれ売却をすることができるのですが、単体の場合はどうしても売却価格は低くなってしまいます。同時に売却をすることで「所有権」となり、市場価格での売却が可能となるので、それぞれ単体で売却するよりも高い金額で売却することができるようになります。
④ 等価交換をする方法
借地権の一部と底地の一部をそれぞれ交換し、借りている土地を分割して借地権者と地主が互いに所有権として土地を分け合います。この方法であれば、お互いに所有権の土地を所有することができるようになります。その上で、借地権者は所有権となった土地を売却することができます。
▽借地権の売却についてはこちらのページもご覧ください
借地権て売却できるの?5つの方法についてやさしく解説します。
3.相続予定者が判断能力がない
① 母親の判断能力の確認
今回のご相談では、相続人のひとりである母親の判断能力の有無が問題となっていました。借地権の実家の相続を母親としたうえで、売却し母親の老後資金を捻出したいとの希望で、お話しを伺った限りでは、判断能力が欠けているのが通常の状態で、成年後見制度をご利用いただくことになる可能性が高いと判断しました。
② 成年後見人の専任
成年後見制度は、家庭裁判所にて所定の手続きが必要となります。認知症などによって、判断する能力が欠けているのが通常の状態の方について、申立てによって、家庭裁判所が「後見開始の審判」をして、本人を援助する人として成年後見人を選任する制度です。成年後見人は、後見開始の審判を受けた本人に代わって契約を締結したり、取り消したりすることができます。相続の際の遺産分割協議も成年後見人がいないと行うことができません。
③ 居住用不動産(自宅)処分許可の申立て及び許可
本人の居住用不動産を処分するには、裁判所の許可が必要となります。裁判所の許可を得ずに行った契約は無効となります。許可が出次第ご売却ができるようになります。
→当社では、同じフロアに司法書士事務所を併設しており、「司法書士あおい事務所」:http://www.ootani-shihou.com/が相続登記、成年後見制度の手続き、居住用不動産処分許可の申立てをさせていただくことができます。
→成年後見制度について:https://www.moj.go.jp/MINJI/minji95.html
4.相続登記後の売却について
今回は、遺産分割協議によって、母親に借地権付建物の相続登記をして、それから売却をしたことによって、相続税の節税と譲渡所得税の節税をすることができました。
相続税の節税効果:配偶者の税額の軽減。亡くなった方の配偶者が遺産分割や遺贈によって実際に取得した正味の遺産額が、1)1億6千万円 2)配偶者の法定相続分相当額 のどちらか多い金額までは、配偶者に相続税がかかりません。
譲渡所得税の節税効果:マイホームを売却したときは、所有期間の長短に関係なく、譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる特例があります。
→当社では、同じフロアに会計事務所を併設しており、「マイスター会計士事務所」:https://www.hayashi-mister.com/companyoutlineと連携して税務についても最適なご提案をさせていただきます。
5.ワンストップサービス
当社・司法書士事務所・会計事務所が1か所に集うことによって、お客様が相談しやすい環境を整えております。借地の売却を一つとっても、今回のように「地主との交渉」、「売却」、「成年後見制度の利用」、「相続登記」、「節税」など多岐にわたってのご検討が必要となってきます。まずはお気軽にご相談いただきたいと思います。ご連絡をお待ちしております。
ワンストップサービス:https://shinseiland.com/onestop/
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借地権の売買を専門で行っている新青土地コーポレーションでは、借地権・底地の各種相談を承っております。
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