第6回目 借地権の更新料について
今回は、更新料についてお話しようと思います。
更新料は、借地契約の期間が満了して、その契約の更新の際に、借地権者が借地権設定者に一定額を支払う金員のことです。
この更新料は、今では当たり前のように考えられていますが、戦前にはほとんど例がなかったようで、戦後もいつごろから行われるようになったか必ずしも明らかではないようです。昭和40年代頃には、東京で更新料の支払が行われていたことが確認されています。
こうした更新料を巡っては、更新料を支払う義務があるのか、その根拠は何かが問題となってきましたが、更新料については、旧借地法にも借地借家法にも、更新に際して借地権者が借地権設定者に対して何らかの金員を支払うという規定がないからだと思います。
したがいまして、更新料を支払うべき場合とは、更新時に更新料を支払うという合意ができているとき、例えば、借地契約書に更新時に更新料を支払う旨の規定があるときということになります。もちろん、契約書の記載は、更新料を支払う旨の合意を裏付けるものですので、そのような記載が契約書になくても、借地権者・借地権設定者の間では更新料を支払うことが前提となっていたような場合(いわゆる、黙示の合意。)も更新料も支払う根拠となります。
なお、過去に更新料を支払っていた場合については、その更新に限って支払ったのか、又は、その後の更新についても更新料を支払うことになっていたのかを明確にする必要があります。
このほか、「当該地域内の借地権者に更新料の支払を強制することができるほどの商慣習あるいは事実たる慣習が存在しているといえるときには、その地域内の借地権設定者は合意がなくても更新料を請求することができる」という判例(最判昭和51年10月1日参照)がありますが、そのような商慣習又は事実たる慣習が認められた裁判例はないとされています。
更新料を支払うべきかどうかを判断するに当たっては、契約書を確認するところからだと思います。
以上