旧借地法から借地借家法への切り替えについて
前回、旧借地法と現行の借地借家法についてお伝えしましたが、これに関連して、「旧借地法から借地借家法に切り替えができますか?」、「旧借地法が適用されるとしても、借地借家法の更新と同じように10年になりませんか?」といったご質問を受けることがあります。
そこで、今回は、この点に関して、特に更新後の存続期間に着目してお伝えしたいと思います。
まず、旧借地法5条1項が適用されると、例えば、非堅固建物では、20年が更新後の存続期間になります。他方で、現行の借地借家法4条が適用されると、第1回目の更新後は20年と旧借地法と同じですが、第2回目以降の更新後は10年となり、旧借地法よりも短くなります。
そこで、自分にとって有利な方を適用したいと考える方がいらっしゃるようです。しかしながら、旧借地法が適用される借地権の場合、更新したとしても現行の借地借家法が適用されることはなく、旧借地法が適用されます。例えば、第3回目の契約更新だとしても、更新後の存続期間は、現行の借地借家法上の10年ではなく、旧借地法の20年となります。
そうしたことから、当事者間で借地契約を合意解除し、改めて、現行の借地借家法が適用される借地契約を締結することが考えられます。しかし、これもなかなか難しい問題があります。
まず、旧借地法と借地借家法のどちらが有利なのかは一概には言えないという点です。仮に、上記のような契約の切り替えをしたとすると、借地借家法が適用されますので、最初の期間は最低30年になります。これは、旧借地法で更新した場合よりも長くなります。もちろん、更新を繰り返し、2回目以降は10年となりますが、そうなるまでに、最低50年はかかることになります。
また、こうした契約の有効性が裁判所で争われた場合に無効と判断されるかもしれないという点もあります。当事者が合意したことだから契約は有効だという判断も考えられますが、借地法でも借地借家法でも、借地人に不利な合意は無効となりますので、場合によっては、全部ではないとしても、契約の一部が無効と判断される可能性があります。
このあたりの裁判例はまだないようですが、いずれにしても、今のところは、更新後の土地の利用方法などをよく考えて、専門家に相談するのがよろしいかと思います。
以上