
マンションの多い都心には、定期借地権付きのマンション(定借物件)が多く存在しています。定期借地権付きマンションは、一般的な所有権マンションとは違い、居住できる期間が定められています。
住めば住むほど、残りの期間が減っていき、売却が困難になるケースがみられます。親から相続した物件や若いころに購入した物件を売りたいけれど、地主や査定業者などから無理だと言われる事例が少なくありません。
そんな定期借地権付きマンションですが、残存期間が短くても、損なく売却する道が残されています。
厳しい条件を突きつける地主や仲介業者との話し合いや交渉、管理組合との付き合いに疲弊している。マンションの管理費や地代の支払いが負担になっている、という方へ、定期借地権付きマンションを、できるだけ有利に手放す方法を、借地権売買のプロが解説いたします。
定期借地権マンションが「売れない」とされる3つの構造的要因

定期借地権付きのマンションを売却したいけれど、話し合いが難航している。住める期間(残存期間)が短いから買うのは難しいと言われ、地代などの支払いに圧迫されている、という人が、都心を中心に増えています。
定借物件はなぜ「売れない」といわれるのか、まずは3つの要因をみてみましょう。
「あと何年住めるか」という銀行の審査基準がハードルになる
定期借地権付きマンションが売れない原因の一つが、銀行の審査基準です。定期借地権付きマンションには、定められた契約期間が満了した時、建物を取り壊し、更地にするというルールがあります。
マンションを購入する場合、30~35年のローンを組むのが一般的です。しかし、売却したい定借マンションに住める残り年数が短い場合、残存期間を超える年数のローンが組めない可能性が高まります。
仮に残存期間が25年の場合、ローンの返済も25年以内でないと、銀行審査に通らない例が多くなります。その結果、月々の支払金額が大きくなり「買いたいけれど買えない」という状態に陥りがちです。
このように、定期借地権付きマンションは、残存期間が短くなればなるほど、買い手が激減してしまうという問題を抱えています。
地主に払う「承諾料」や「毎月の地代」の負担が大きい
定期借地権付きマンションを売却する際、多くの場合、地主へ承諾料の支払いが発生します。販売価格から承諾料を引いた金額が売却益になるため、所有権マンションを売却する場合よりも販売価格が安くなります。
また定借マンションは、購入した後に地主へ支払う地代、マンション管理費、将来の修繕や解体に備えた積立金、建物部分の固定資産税などがかかります。修繕積立金が将来的に値上がりするケースが多い、という点もデメリットです。
マンションを探している買主に、このような知識がある場合「購入後の負担が大きくなるのでは?」という不安から、購入を控えられてしまいます。
地主との「話し合い」がスムーズにいかない
定期借地権付きマンションを売りたいけれど、地主との話し合いが上手くいかないケースもあります。「売りたい」と言っても、地主が首を縦に振ってくれず、泣き寝入りしている、という所有者さんの声も聞かれます。
数十件住んでいるうちに、地主さんと連絡が取れなくなった、管理が地主個人から管理会社に変わっていた、といったケースもあり、自分一人の力では売却できない、問題を解決できない、といったトラブルも報告されています。
地主ともめた場合に覚えておきたい3つの進め方

定期借地権付きマンションの売却には、地主との話し合いが必要不可欠です。しかし、売りたい所有者と売ってほしくない地主との間で、話し合いが決裂してしまう場合があります。
地主ともめた場合はどう対応するのが正解なのか、できるだけ平穏に話し合いを進めるにはどう動くのが良いのか、正しい知識を覚えておきましょう。
1:地主に会う前に専門家へ相談する
地主と意見が食い違っている場合、お互いに熱が入り、感情論になってしまいがちです。また、地主側の方が、定期借地権付きマンションの売買について、くわしい知識を持っているケースが多く、門前払いされてしまう場合もあります。
このような事態を未然に防ぐなら、地主と話し合いをする前に、司法書士や税理士といった借地借家法などの法律にくわしい専門家へ相談しておくと安心です。
専門家との対話では、地主も冷静に判断せざるを得ず、解決に向けた話し合いができます。「一度地主と話したけれど、上手くいかなかった」という場合も、次に向けて専門家を頼ると、売却という未来へ一歩近づけます。
2. 借地非訟手続きで裁判所の許可を得る
地主がどうしても売却を認めない場合、裁判所へ「借地非訟」の申し立てができます。借地非訟の手続きを進めると、地主ではなく裁判所から、売却の許可が得られます。
借地非訟(借地借家法第19条)は、普通借地権にたいして設けられた規定ですが、定期借地権の場合も、適用が認められています。
地主が首を縦に振らない場合は、地方裁判所で申し立ての上、借地非訟手続きで話を進められます。定期借地権付きマンションの売却は、地主の許可が絶対ではない点を覚えておきましょう。
3. 「お金問題」のセット解決を目指す
定期借地権付きマンションの売却にあたり、頭に入れておきたいのが、適正な承諾料での交渉と、売却後の節税対策です。不動産売買手続きと合わせて、税理士サポートの両方が受けられる業者へ相談すると、2つのお金の問題をセットで解決できます。
地主の言い値ではなく、マンションの残存期間、現在の状態に適した承諾料を得ること。さらに売却後に発生する税金を最小限に抑えられれば、手元に残る現金を最大化できます。
新青土地コーポレーションは、不動産コンサルタントを運営しているオフィス内に、税理士事務所、司法書士事務所を構えています。定期借地権付きマンションの売買、法律に則った地主へのアプローチ、節税の知識など、それぞれの道の専門家がお悩みに寄り添い、最善の解決方法をご提案いたします。
定借マンションの売却前にチェックするべきポイント

定期借地権付きマンションを売却する場合、正しい価格で売るために、チェックしておきたいポイントがあります。次の2点を理解できていると、専門家へ相談する場合もスムーズに話を進められますので、事前に知識を増やしておきましょう。
「契約書」を見て、あと何年住めるか確認する
定期借地権付きマンションの売却価格や買い手のつきやすさは、あと何年住めるのかという、マンションの残存期間によって大きく変わります。まずは、手元にある「定期借地権設定契約書」をチェックして、契約の「期間満了日」はいつなのか、あと何年残っているか、という点をたしかめておきましょう。
残存期間が短い場合、売却のハードルが高くなります。現在の残り期間を把握した上で、定期借地権付きマンションの売買に強い専門家の手を借りながら、早期売却を目指しましょう。
マンションの「売却事例」を調べる
同じ定期借地権付きマンションが、過去にいくらくらいで売買されていたのかが気になる点ではないでしょうか。
成約価格を調べる手段として、レインズマーケットインフォメーションを思い浮かべる方もいるかもしれません。しかし定期借地権付きマンションは流通数が少ないため、条件が近い成約事例が見つからないことがほとんどです。残存借地期間や地代の条件によって価格が大きく変わる物件特性上、相場の把握には限界があります。
その他、「マンション名 売却価格」で検索してみると、現在販売している物件や、過去に販売実績されていた物件情報を公開している不動産会社のサイトなどが見つかります。何年に、何階が、いくらくらいで売却・販売されていたのかが分かると、だいたいの売却相場を把握できます。
売却価格の目安を知るには、不動産会社への査定依頼が現実的な方法です。定期借地権の取り扱い実績がある不動産会社であれば、残存借地期間・地代水準・立地条件などを総合的に判断した上で、具体的な価格を提示してもらえます。複数社に査定を依頼して比較することで、より精度の高い売却価格の目安が把握できるでしょう。
まとめ

所有している定期借地権付きマンションが売れないかもしれない、と不安に感じたら、まずは物件の価値をたしかめてみましょう。
残存期間が短い、ローンが残っている、地主が売却に反対している、といった困難な状況でも、プロの手を借りれば売却を目指せるケースが多くあります。
専門家のサポートや正しい知識なしで、売却手続きを進めた場合、地主から法外な手数料を請求されたり、相場よりも安く買い叩かれてしまったりして、負債が大きくなってしまう場合があります。
売却益を増やしながら、節税で手残り金額を残すためにも、地主や管理会社の言いなりにならないためにも、多くの定期借地権付きマンションの買取・売却に携わっている専門家とタッグを組むのが正解です。
新青土地コーポレーションは、定期借地権付きマンション、借地権付き建物の売買を数多くサポートしてきた専門業者です。不動産コンサルタント、税理士、司法書士を有するプロ集団が、お悩み解決に向けて、全力でサポートいたします。
お問い合わせ・ご相談は無料です。「売れない」定期借地権付きマンションの問題を、「できるだけ負債なく売れる」ゴールへ導きます。笑顔になれる結末を、私たちと一緒に目指しましょう。
定期借地権付きマンション売却のよくある質問
- Q:残存期間が20年を切っていますが、売れますか?
- A:はい、可能です。ただし、一般的な所有権マンションとは違い、残存期間が20年を切ると、買主が利用できる住宅ローンの期間が短くなります。その結果、月々の返済負担が大きくなるため、需要は大幅に下がります。
早期売却を目指すためには「残存期間が20年未満でもそのエリアの物件を取得したい」と考える年代、職種など、ターゲットを絞った販売戦略が求められます。残存期間が短い物件は、地主や管理会社との交渉で詰まりやすいため、専門家への早めの相談がおすすめです。
- Q:地主が承諾料として数百万円を要求してきました。妥当な金額ですか?
- A:承諾料の相場は、一般的に売却価格の数%とされています。しかし、定期借地権付きマンションの残存期間、エリア、現在の状態、契約内容などによって、目安価格が異なり、法的に〇%といった決まりはありません。
法外な承諾料を請求されるケースもあるため、まずは専門家に相談すると安心です。手残り金額を少しでも多く残すために、不当な請求額になっていないか確認してから、手続きをすすめましょう。
- Q:定期借地権マンションの「資産価値」は、残存期間が短い場合ゼロになりますか?
- A:価値がゼロになることは、基本的にありません。ですが、所有権マンションと比較すると、定借マンションは残存期間が短くなるにつれ、価格が下落していきます。
一方で、立地条件が良い場合、管理状態が良い場合など、需要のある物件には底値があり、一定価格まで下がったあとは下がりにくく、一定の価値が維持される場合もあります。
この底値の知識がないと、地主へ無償で返還してしまったり、赤字で手放してしまったりして、損をしてしまうケースがあります。
残存期間が少ないからと諦める前に、販路にくわしい専門家へ相談してみてください。現在の相場をただしく把握して、最大限の利益が得られる道を探してみましょう。
- Q:地主から地代の値上げを要求されています。売却に影響しますか?
- A:定期借地権付きマンションの地代が上がると、売却価格に大きな影響が出ます。地代が上がると、買主の支払いコストが増えるため、売れにくくなる可能性が考えられます。
地主に値上げを要求されている場合は、その金額が法的に適正なのかどうか、周辺の相場と比較して妥当かどうか、まずはたしかめてみましょう。
地代が値上げされた場合も、売却の道は残されています。地代の相場や法律にくわしい専門家の力を借りながら、できるだけ高値で売却できる方法を検討してみてください。
- Q:住宅ローンが残っていますが、売却は可能ですか?
- A:はい、可能です。ただし、ローンの残債を完済できるかどうか、事前にシミュレーションしておく必要があります。定借マンションは、所有権物件に比べると、価格が下落しやすい傾向にあります。
そのため、売却額がローンの残債を下回る「オーバーローン」に陥る恐れがあります。「売却金額でローンを完済できない」という場合も、売却自体は可能です。しかし、次は賃貸を検討している、新しく家を購入する予定がある、という場合、月々の支払いがさらに大きくなる恐れがあります。
今売却したらいくらになるのか。オーバーローンになる場合は、今後の支払いをどうするべきか、といった部分をしっかり検討したうえで、計画を立てると安心です。

