名義変更や流れ・注意点・相続税について専門家が徹底解説!
家族が亡くなり、遺産相続・遺産分割の話になったとき、借地権(建物含む)をどうするのか、という問題が出てくる場合があります。
建物を建てる目的で土地を利用できる権利である借地権は、相続財産として申告できるのか、相続できる場合の流れやその後の取り扱い等、さまざまな疑問をいただきがちです。
この記事では、遺産として遺された借地権がある場合、どのような場合で相続できるのか、手続きの進め方や費用などの概要を、不動産の専門家目線で詳しくまとめました。
借地権のことを遺言書に書きたい場合、借地権の活用法についても解説・ご案内いたしますので、ぜひ今後の相続問題解決に、お役立てください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別の事案(契約内容・相続関係・税務状況等)によって結論が異なることがありますので、最終判断は弁護士・司法書士・税理士等の専門家へご相談ください。
この記事でわかること
用語ミニ解説(まずここだけでもOK)
・遺産分割協議:相続人みんなで「誰が何を相続するか」を決める話し合い。
・借地権割合:相続税評価で使う割合。路線価図などにA〜Gで表示されます。
・底地:借地になっている土地そのもの(地主さん側の土地)。
・借地権:地主さんの土地を借りて、そこに自分の建物を建てて使う権利。
・相続放棄を検討するときの注意点
・相続税の評価の考え方(ざっくり)と期限
・地主さんへの連絡が必要なケース/不要なケース
・借地権を相続するときに最初に確認すること(契約書・名義・地代など)
借地権とは
家を建てる場合、土地を購入して家を建てる方法と、所有権を持つ地主から土地(底地)を借りて、その土地に家を建てる方法があります。
土地を借りて家を建てる場合、決まった期間、地主へ地代を支払い、土地を利用する権利を得ます。この借地借家法に基づいた権利を、「借地権」と呼びます。借地権は、契約者が亡くなった後も存続するため、正しい手続きが必要です。
似た言葉に「賃借権」がありますが、こちらは賃貸マンションやアパート、貸し店舗などを借りる、賃貸借契約の際に使われる言葉です。
借地権(建物所有目的の土地賃借権)は、第三者に対して権利を主張するための第三者に「自分の権利です」と主張するための条件(対抗要件)が法律で定められている点が特徴です(例:借地上の建物の登記等)。※具体的な対抗方法は契約形態・登記の状況により異なります。
相続時に知っておきたい借地権の種類
借地権には、「旧法借地権」(1992年8月の借地借家法施行以前に契約された土地の賃借権)と、借地借家法に基づいた「借地権」があります。現行(借地借家法に基づいた)の借地権の中には、長期間土地を借りられる「普通借地権」、借りる期間が定められた「定期借地権」があります。
定期借地権には、一般定期借地権、事業用定期借地権、建物譲渡特約付借地権の3種類があるため、相続の際は、契約内容をチェックしておくと安心です。
所有権に近い、より強い権利として、「地上権(物権)」が認められているケースもあります。こちらは、契約の期間を自由に決められる、立てた建物を地主の許可無く譲渡・相続できる、といった点が特徴です。
一般住宅ではあまりみられない権利ですが、故人が企業や工場を保有していた、という場合、地上権が適用されている場合もあります。
借地権は相続の対象になる?
故人が借地権を保有していた場合、相続財産とみなされ、遺産相続で権利を受け継げます。対象になるのは、法定相続人ですが、遺言書による家族以外への遺贈も可能です。
借地権は相続税評価の対象となり、借地権の価額は、基本的に『借地権の目的となっている宅地の自用地としての価額 × 借地権割合』で計算します(借地権割合は路線価図・評価倍率表に表示)。※定期借地権等は評価方法が異なるため、契約内容の確認が重要です。
相続人は手続き後、借地権契約で定められた、地代の支払いも必要になります。相続を決定する前に、いくら地代を支払う必要があるのか、契約満了がいつになるのか、という点を確かめておきましょう。
地主の許可なく借地権を相続できる?
相続(法定相続・遺産分割による承継)の場合は包括承継となるため、基本的に地主の承諾は不要と考えられています。一方、相続人以外の第三者へ遺贈・死因贈与する場合は、地主の承諾が必要となることがあり(特定承継は要承諾とされるのが一般的)、早めに契約内容と実務対応を確認しておきましょう。
相続そのものに『承諾料』が法的に当然に発生するわけではありません。ただし、契約書の書換や手続対応の実務上の名義書換料(手数料・お礼の趣旨)等を求められることはあります。金額・根拠・支払時期を確認しましょう。
地主の承諾が不要でも、地代の支払い、更新手続き、契約満了時の明渡し(更地返還の有無を含む)など、契約に基づく義務が発生します。相続・取得時のトラブルを避けるためにも、地主へ早めに連絡し、今後の手続きや支払い方法をすり合わせておくのがおすすめです。
借地権を相続する流れ
借地権を相続する場合、遺産分割協議や必要な書類の準備、名義変更、地主との話し合いなど、さまざまな手続きが発生します。スムーズに相続を進められるように、必要な書類や流れを知っておきましょう。
1:法定相続人を特定する
借地権を保有する人が亡くなった場合、誰が法定相続人なのか、まずは特定します。遺言書の有無を確かめた後、相続するべき人は誰なのか、借地権を含めた相続財産がどのくらいあるのか、という点を、限りなく調べた上で、次へ進みます。
財産目録の作成、相続に関連する書面の作成、税金対策など、煩雑な部分は司法書士や税理士といった専門家に任せるケースが一般的です。
2:地主へ連絡する
借地権の相続にあたり、地主の許可が必要かどうか。必要な場合は、どのような流れで進めていけばよいのか、どんな書類が必要なのか、という点を確かめるため、地主へ連絡を行います。このとき、支払う必要がある地代や更新料についても、確認しておくとスムーズです。
3:必要な書類を準備する
借地権の相続を進めるにあたり、死亡届や故人の戸籍謄本、法定相続人の戸籍謄本、印鑑証明、住民票の除票、住民票の写し、遺産分割協議書(相続人全員で合意した内容を書いた書面)など、さまざまな書類が必要になります。故人が契約を交わした際の、契約書や登記済証も探しておきましょう。
被相続人の借金を引き継ぎたくない等の理由で相続放棄をする場合は、『自己のために相続の開始があったことを知った時』から原則3か月以内(熟慮期間)に家庭裁判所で手続きが必要です。相続税の申告・納付期限は、基本的に『被相続人が死亡したことを知った日の翌日』から10か月以内です。
相続は、悲しみの中、行う手続きが多く、土地のことはつい後回しにしてしまいがちです。ですが、相続放棄できなかった、延滞税や無申告加算税が発生してしまった、といったトラブルが起きる場合があります。
必要に応じて専門家の手を借りながら、できるだけ速やかに手続きを進めていきましょう。
4:名義変更・相続登記(建物)をする
相続人が決まったら、(借地上の)建物の相続登記(所有権移転登記)などの手続きを進めます。相続人が複数いる場合は、遺産分割協議書(相続人全員で合意した内容を書いた書面)に従い、誰か一人が相続するケースが多く見られます。
将来的な手続きが煩雑になる恐れがあるものの、相続人全員の共有名義で登記する場合もあります。正確に作業を進めるため、相続全般の手続きと合わせて、専門家へ依頼すると安心です。
借地権相続にかかる費用は?
借地権を相続する場合、書類の準備や司法書士への報酬、相続税などの費用が発生します。
「必ず必要な費用」
・戸籍謄本などの取得費用
・財産目録、遺産分割協議書(相続人全員で合意した内容を書いた書面)などの作成費用
・相続登記(登録免許税)の支払い
「必要に応じて発生する費用」
・名義書換料等(地主から求められる場合)
・未払いになっている地代の支払い
・司法書士への報酬
・相続税
具体的な金額は、相続する財産、借地の評価額によって変わります。相続税については、一括で払えない場合、条件を満たせば延納も可能なため、希望する場合は税務署で相談してみてください。
相続放棄や借地権売却を検討している場合
借地権の相続放棄、借地権の売却を検討している場合、いくつかの条件をクリアしてから、手続きを進める流れになります。どのような点に注意すれば良いのか、事前に理解しておきましょう。
相続放棄の条件と注意点
相続放棄を選ぶ場合、遺産のすべてを手放すのが条件です。借地権だけ面倒だから放棄して、メリットが多いその他の遺産は受け取る、といった申し立てはできないため、注意しましょう。
また借地権の所有者が亡くなった後、「地主さんに迷惑をかけるといけないから……」といった理由で、地代の振り込みをしてしまった場合、放棄の意志がない(相続承認)とみなされてしまう場合があります。
相続放棄は、自分が相続人であると知った日から、3か月以内(熟慮期間)に行います。相続放棄を予定している場合は、支払いをストップして、速やかに手続きを進めていきましょう。
相続放棄の流れ
最初に確認するチェックリスト
□ 相続人の範囲(戸籍で確認)と遺産分割の方針
□ 借地上の建物の登記名義(被相続人名義になっているか)
□ 地代の支払い状況(滞納がないか/支払方法)
□ 借地契約書(契約期間・更新・名義変更の扱い・名義書換料の記載)
書類が受理された後は、基本的に相続による権利や義務を引き継ぎません。ただし、相続放棄の時点で相続財産を現に占有している場合は、引渡しまで保存する義務(保存義務)が生じることがあります。
今後の地代や更新料だけでなく、借地権の保有者が、地代を未払いにしていた場合も、支払い義務がなくなります。
相続人全員が相続放棄するなどして相続人がいない場合、利害関係人(例:お金を貸している人など)の申立てにより、家庭裁判所が相続財産清算人(旧:相続財産管理人)を選任することがあります。清算人は、相続財産の管理・換価・債権者への弁済等を行います。
借地権売却の条件と注意点
借地権を相続した後、その建物に住む予定がなかったり、地代の支払いが負担だったり、といった理由で売却を検討する場合があります。
借地権の売却は、地主の承諾が必要なため、まずは相談してみましょう。借地権の売却にあたり、名義の書き換え料、承諾料などが必要になる場合があるため、合わせて確認が必要です。
売却金額は、路線価やニーズによって変わるため、希望の金額で販売できない、買い手がつかない、という場合もあります。契約期間が短い、建物が老朽化していて使用できない、という場合も、売却が難しくなります。
借地権売却をスムーズに進めるなら、多くの借地権相談に対応している不動産業者、不動産コンサルタントに相談すると、より希望に近い価格・条件での売却を目指せます。
借地権を相続する場合のチェックポイント
借地権を相続する場合、気をつけて進めないとトラブルにつながる可能性があります。相続の際に覚えておきたい、チェックポイントを押さえておきましょう。
1:相続人同士のトラブル
相続人が複数名の場合、借地権を放棄したい人、相続して売却したい人、建物に住み続けたい人など、意見が割れる場合があります。一人が引き続き住む場合、相続の計算が煩雑になる場合もあります。
相続人同士の話し合いでは、なかなか結論が出ないという場合、親族とは関係のない他人を間に入れるのがおすすめです。借地権問題にくわしい専門家からのアドバイスを交えながら、協議を進めていきましょう。
2:地主との関係が悪化する
借地権を相続すると、地代を支払ったり、土地に住んだりする人が変わります。このとき、相続人と地主との関係性があまり良くない場合、思わぬトラブルに発展する恐れがあります。
借地権を保有する人が亡くなり、地主側も不安を抱えています。できるだけ地主の気持ちに寄り添う、良い関係を築けるように、対話の時間を積極的に持つ、専門家に間に入ってもらう、といった配慮が求められます。
借地権更新時のリスク
借地権には利用期間が定められているため、将来更新が必要になります。このとき、更新料や地代の値上げの問題で、地主とトラブルになる例が多く報告されています。
不要なトラブルを防ぐために、相続の際は、更新条件や更新料の有無など、契約書の内容を、しっかり確認して、知識を深めておくと安心です。合わせて大切な基礎として、地主との信頼関係を構築しておくと、スムーズな更新につながります。
借地権相続で遺言書を書く場合のポイント
次に、借地権付きの建物を保有していて、将来に備えて重要事項や遺言書を残しておきたいという場合に備え、知っておくべきポイントをみてみましょう。
借地権は財産のため、誰に相続させるのか、情報をきちんと明記しておきます。複数人で相続すると、手続きが煩雑になりやすいため、相続人を一人に絞っておくとトラブルを防げます。
なぜその相続人を選んだのか、理由も合わせて記載しておきましょう。
借地権と建物を合わせて相続させる、という点も重要です。借地権は兄へ、建物は弟へ、といった遺言書にした場合、家族間や地主との間で、問題が起きる場合があります。
借地権を相続しない人がいる場合、遺産分割をスムーズに進めるために、現在の評価額や分配割合を記しておくのも良い方法です。
借地権だけでなく、相続財産のだいたいの金額を一覧にしておくと、相続税の計算に役立ちます。不動産業者や税理士などへ、今の価格はどのくらいなのか、事前に相談してみてください。
相続した借地権を収益化する方法
借地権、建物を相続したあと、自分で住む以外に収益化する方法もあります。地主の承諾が得られる場合、さまざまな収益化の道がありますので、以下の運用事例を参考にしてみてください。
1:建物を第三者に貸す
地主との契約で建物の用途について制限がない場合、借地にある建物を賃貸物件として、貸し出せます。家賃を地代よりも高く設定すれば、安定した収益につながります。
2:借地権と建物を売却する
地主の許可が得られる場合、借地権と建物を合わせて売却できます。まとまったお金が必要な場合、一括で現金化できる点がメリットです。地代、更新料の支払いもなくなります。
最後に
借地権の問題でお悩み、トラブルを抱えているなら、「新青土地コーポレーション」の無料相談をぜひご利用ください。当社は、これまでに多くの借地権問題に対応してきた、経験と実績が豊富な不動産コンサルタント会社です。
借地権者様、地主様、どちらの気持ちにも寄り添う提案、サポートを大切にしています。トラブル解決の過程で、できるだけ地主と揉めたくない、平穏な解決を望んでいる、そんな借地権者様から、高いご支持をいただいている専門家です。
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