地主の方のご相談で多いのが「地代の値上げ」です。借地人さんとの付き合いが長くなると、なかなか値上げを伝えられませんよね。その結果、固定資産税などの税金を支払うのがギリギリに……。そんな地主さんもいらっしゃるようですので、地代の値上げについてご説明させていただきます。
地代の適切な相場について
地主さんは、借地人さんの変わりに固定資産税や都市計画税などを支払っています。それらの税金は地代から支払います。なので、税金が上がれば見直す必要があります。固定資産税や都市計画税は土地の利用状況によっても変わりますが、適正な地代は以下のようになります。
住宅地の地代 固定資産税・都市計画税の合計金額の3~5倍
商業地の地代 固定資産税・都市計画税の合計金額の7~8倍
上記の金額を12ヵ月で割ったものが一般的な毎月の地代になります。
地代の値上げはいつ行えばいいの?
次に気になるのが地代の見直しを行うタイミングではないでしょうか。借地権を定めている借地借家法の11条1号では、以下のタイミングで地代の見直しを行うように明記されています。
1)土地に対する租税公課(固定資産税)などの税金が変化したとき
2)土地の価格が物価・所得上昇によって変化したとき
3)近隣の似た土地の地代に比べて地代が極端に違うとき
要約すると、「税金や物価が上昇したとき、また周辺の土地と比べて明らかに地代が安いと感じれば、いつでも値上げしていいですよ」ということです。地代にもっとも影響する固定資産税の評価は3年に1度なので、そのタイミングに合わせて地代を見直すとよいでしょう。
地代の値上げ交渉について
地代の値上げ交渉は地主さんと借地人さんの話し合いによって決めます。まずは値上げ交渉をしたいことを伝えるために、地代の値上げを行う理由(税金や物価の上昇状況、また近隣の地代など)を郵送にて借地人さんに送付しましょう。そちらを借地人さんにご確認いただき、交渉を行っていきます。
当人同士の交渉で値上げが成立しない場合、調停で第三者(調停委員)が当事者間に入って問題解決を行います。調停での話し合いで成立すればよいのですが、それでも借地人の方が値上げに応じてくれない場合は、最終的に裁判になります。裁判となると精神的・金銭的負担が重くのしかかりますし、その後の土地運用にも支障がでる恐れもありますので、できれば調停の話し合いで合意できるようにしましょう。
地代の値上げは、地主さんと借地人さんの話し合いで、お互いが納得したうえで実施することが最善の方法です。そこで、なぜ値上げが必要なのかという根拠、それを理解してもらうための資料を用意して話し合うことが大切。借地人さんとの円満な関係を構築しながら、定期的な地代の見直しを行い収益改善することが不動産運用のコツです。
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