地主と新たに借地契約を結ぶ際、注意すべきことには以下のようなことがあげられます。
1.税金に関すること
旧借地法に該当する既存の借地権では当てはまりませんが、これから新たに借地権を設定しようとする場合、権利金や保証金の授受や、相当の地代の支払、また権利金(保証金)と地代のバランスを考えないと、贈与税の対象となることがあります。
2.契約条件に関すること
上記1の権利金・保証金・地代のほか、借地権の目的・期間・禁止事項・将来の承諾料などの項目を細かく取り決める必要があります。借地借家法において目的と期間の取り決めもあります。また、将来のトラブルを少しでも削減できるように、更新・増改築・建替え・条件変更時における承諾料に関し、できるだけ明記すると良いでしょう。
3.建築基準法・都市計画法などの法令上の制限にかかる建築に関すること
借地の場合、地主の持つ広い土地の一部を分割して対象とする事が多くあります。土地の分割で注意しなければならないのが、目的の建物が建てられるように分割できているかということです。
4、境界に関すること
借地権は、確固とした財産となります。借りる土地の範囲、すなわち「境界」を明確にする事、境界標の整備も注意しましょう。
以下では、上記3の敷地分割に関する注意点に重点を置き解説します。
道路に接していない土地は建て替えできない
建物を建設するための敷地は、建築基準法などにおいて敷地と道路との関係が決められています。
- 建物の敷地は、建築基準法上の道路に2M以上接していなければならない。(間口)
- 旗竿状の土地(路地状の土地)は、路地状部分の間口とのその延長距離との制限がある。
- 間口の広さにより、建築できる建物(専用住宅・共同住宅・事務所・長屋など)に制限が係る。
借地の場合、分割した土地が道路に接していなくても道路までの敷地を、建築時に建築確認申請用として、借地対象外の地主の土地を一時敷地の一部として使用させてもらう(図面上借りる)ことで、建物を建て、借地契約を結んでいるケース。
また、借地対象地の前面の道路が、見た目は道路であっても、建築基準法上の道路でなく、単なる通路であり、その借地対象外の地主の通路を一時的に敷地として建築確認申請を出しているケース。を、時たま見ます。
このような場合、借地契約締結時には、建物が建ったので借地権者は気にせず問題なく借地契約を継続したものの、その後地主との関係が悪くなり、建替えや売却時に地主の協力がもらえず頭を抱えるといったことが起こります。
借地契約を締結する前に、事前の調査が必要です。
万が一にもそのようなこととならないように、土地の貸し借りであっても、売買するときと同じように、借地権の対象となる土地をよく調査する事が必要です。建築基準法・都市計画法などによる法令上の制限は大丈夫か? 敷地と道路との関係は大丈夫か? 敷地内に引き込まれているガス水道下水などの配管が隣接地を通過していないか? それらの問題がクリアできる形で境界表の明示がなされているか? などなど、事前の調査をしてから地主との契約を交わすようにしてください。できれば専門家に相談する事をお勧めします。
借地権を新たに設定する際の注意点のうち、「税金の面」「契約条件に関すること」は、順次、別のコーナーで解説します。
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