今の地代が「適正な地代」なのか——借地人様も地主様も、自分が払っている(またはもらっている)地代が高いのか安いのか、疑問に思われている方はたくさんいらっしゃいます。極端に低廉な地代(固定資産税相当額と同額など)を除いて、地代の金額に決まりごとはなく、計算根拠も地主様によってさまざまです。新青土地コーポレーションでは、一般的な地代の目安である「公租公課倍率法」をはじめ、さまざまな地代の計算方法から、地代交渉の進め方までご相談いただけます。

一般的な地代の目安

公租公課倍率法(土地の固定資産税・都市計画税を基に計算)

公租公課とは、国や自治体に対し納める税金である固定資産税と都市計画税のことを指します。土地や建物の所有者には、この固定資産税と都市計画税を納めるため毎年納税通知書が送られてきます。地主様からすれば、最低でもこの固定資産税・都市計画税の税額くらいは回収したいと考えるでしょう。

首都圏およびその近郊では、土地に課せられる「固定資産税・都市計画税」の税額を基に地代を定めているケースが多く見られ、この固定資産税・都市計画税の年額に対し、以下の倍率で地代を計算しているのが一般的です。

住宅地の場合

固定資産税・都市計画税の税額(年額)の3〜5倍程度

商業地の場合

固定資産税・都市計画税の税額(年額)の5〜8倍程度

お寺や神社等の宗教法人では、宗教法人としての減免をはずされないように、地代を公租公課の3倍を超えないように設定しているところもあり、この公租公課倍率法を採用しているケースが多く見られます。

土地の固定資産税・都市計画税は地主様に課せられています

地主様は固定資産税・都市計画税を毎年払っているので、今の地代が税額の何倍になっているか分かっていますが、借地人様は地主様がいくら固定資産税・都市計画税を払っているか知らない方がほとんどだと思います。借地人様は、今の地代が公租公課に対して何倍になっているか知るすべがないのでしょうか。

土地の評価証明書は借地人様でも取得できます

平成15年4月1日から評価証明書の取り扱いが改正され、これまで土地の所有者しか取得できなかった固定資産評価証明書が、所有者以外の「借地人」や「借家人」も取得できるようになりました。評価証明書の申請方法は、借地契約書(原本が望ましい)と本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード等)を、評価証明書を発行する各自治体の窓口へ持参し申請することにより取得することができます。「地代が高いかな?」と感じたら、確かめてみるのもいいでしょう。

土地が更地だと固定資産税が高くなる?

固定資産税・都市計画税の税額は、土地の上に建物があるかないか、またどんな建物かによっても変わります。建物(居住用)が建っている土地は、土地の評価(課税標準額)が一般の住宅用地の場合は3分の1(都市計画税は3分の2)、また200㎡以下の小規模な住宅用地の場合は6分の1(都市計画税は3分の1)となるため、建物が無い更地に比べ税額が安くなります。反対に、建物の敷地の一部をコインパーキングにしたり、店舗や事務所等の居住用以外の建物に建て替えてしまった場合には、その減額が適用されず、税額が上がってしまうので注意が必要です。ある時、地主様から「固定資産税が去年に比べ大幅に上がったから地代を上げさせてくれ」と言われた場合、このようなケースが考えられるでしょう。

様々な地代の計算方法

地主様の考え方の違いにより、地代の算定にはさまざまな計算方法が用いられています。どれが正しいという正解はなく、それぞれに根拠のある計算方法です。ここでは、その中でも代表的な計算方法についてご紹介いたします。

スライド法(改定後地代=現行地代×変動率)

地主様と借地人様で大昔に決めた地代が、いつまでも適正な地代であるとは限りません。長い契約期間の中で、その後の物価の変動により、現行の地代が高くなったり安くなったりします。「現行の地代」に、現行地代を決めた時以降に生じた経済的情勢等の「変動率」を乗じて算出する方法が、このスライド法です。ここで言う「変動率」とは、国内総生産(GDP)、企業物価指数、消費者物価指数、市街地価指数等の指数を総合的に勘案して求めます。

時代と共に地代も変動します

その時々の経済情勢や近隣環境の変化により土地の価格も変わるため、地代の相場も変わってくると考えるのが妥当です。旧法の借地権では短いものでも20年間(非堅固建物所有の場合)という長い契約期間の中で、周辺に駅ができたり大型ショッピングモールができたりと、土地の価格が大幅に上がる可能性があります。反対に、周辺の過疎化が進んだ場合、土地の価格が大幅に下落する可能性もあります。地代の相場もこうした周辺の事情や物価等の経済情勢に左右されるため、現行地代を決めた時点から「どれくらい物価が上がったか(又は下がったのか)」という計算方法は、継続的な地代を算出する方法として、このスライド法は馴染みやすいのが特徴です。

賃貸事例比較法

賃貸建物を借りるときにその賃料が周辺の同じような条件の賃貸物件と比べて高いのか安いのかを考えるように、自分が支払っている借地の地代が周囲の借地人様が支払っている地代と比べて高いのか安いのかは重要なことでしょう。賃貸事例比較法とは、周辺の地代の事例を集めて比べてみる方法です。

なるべく自身の借地と同じような条件の事例を探しましょう

商業地域と住宅地域の違いや、土地の大きさ・形が違いすぎていたり、また接続している道路の幅や道路に接している敷地の間口の長さ等の条件が異なると、地代に差が出てくるためあまり参考になりません。同じような条件の借地の事例をなるべく多く比較することによって、地代の相場を把握しやすくなるでしょう。

事例が少ない場合には使えない

この賃貸事例比較法は、多くの似たような物件を比較することで地代の相場を把握することができますが、周辺に比較する物件がない場合は使えないというデメリットもあります。郊外などでそもそも借地としての利用が少ない地域では比較する事例も少なく、同じ条件の事例を探すのが難しい場合もあります。

借地権者に個別の事情がある場合

この方法により周辺の地代の相場については把握することができますが、旧法の借地権では、賃貸借が開始された経緯、権利金授受の有無、賃料改定の経緯、また土地の個別的な要因等のさまざまな事情が借地権者ごとに異なっているのが普通でしょう。この方法により求められた地代が当該借地権者にも必ず当てはまるかという点については、その他の事情を考慮した場合に説得力に欠けてしまうというケースがあるので注意が必要です。

利回り法(地代=土地価格×期待利回り+必要経費)

自分の持っている土地を人に貸す目的は、その土地から収益を得たいからということでしょう。どれくらいその土地から収益を得たいかをある程度決めた上で地代を決める場合に、この利回り法という計算方法が用いられます。自身の土地の価格に期待利回りを乗じて出た金額に、固定資産税・都市計画税等の必要経費を加え地代を計算します。

期待利回りとは

期待利回りというのは、投資した金額(土地の価格)に対して期待する「年間の利益率」のことを指します。アパート投資に見られる賃料の利回りや、銀行にお金を預けた際の預金金利のように、投資したお金に対して年間で何%リターンがあるかというように考えると分かりやすいでしょう。期待利回りを何%にするかというところから逆算して計算する場合がありますが、都内の場合だと、更地価格の1〜2%程度を地代としているケースが多いようです。例えば、更地価格が2,000万円だった場合、期待利回りが2%ですと40万円となります。これに必要経費である固定資産税と都市計画税を加えた金額が年間の地代となるように設定します。

地代による収益計画が立てやすい

賃貸アパートやコインパーキング等の事業を行う時にも期待利回りをもとに収益計画を立て、将来的な収益計画を立てるのが一般的です。この利回り法は、得たい利益をあらかじめ設定した上で地代の金額を決めるため、借地契約のように長期間にわたって土地を貸し続ける場合には、賃貸アパート等と同様に将来的な収益計画が立てやすいという特徴があります。

差額配分法

「新規地代と現行地代の差額」に、契約内容、契約締結の経緯などを総合的に勘案して求めた「配分割合」を乗じた額を、「現行地代に加算(又は減算)」して適正地代を求める方法です。当初の地代の定め方が不合理であった場合や、その後の地代の値上げ(又は値下げ)に当事者が納得していないなど、一切の事情をこの配分割合にて調整することにより、お互いに納得した形で地代を改定することが可能となります。

差額賃料の基となる新規地代の求め方

差額賃料の基となる新規地代については、これまでご説明してきた「賃貸事例比較法」や「利回り法」等を用いて計算します。まず、この新規地代について地主様と借地人様で合意がなされたあと、過去の経緯等を総合的に勘案して求めた配分割合に合意できれば、改定後の地代が決まります。

賃料上昇の場合

改定後地代 = 現行地代 + (新規地代 - 現行地代)× 配分割合

賃料減少の場合

改定後地代 = 現行地代 - (現行地代 - 新規地代)× 配分割合

配分割合はどのように決めるの?

今日までの地主様と借地人様の間の一切の事情を考慮するという性質から、配分割合に○%という決まりはありませんが、実務では「折半」となるケースが多いです。配分割合について当事者が1/3や1/4などと主張しても、その根拠を示すことは困難であることがその理由でしょう。借地人様と地主様の双方が歩み寄りながら解決するという目的から、お互いが納得しやすい「折半」を採用するというのは、自然な流れなのかもしれません。

実際の計算は専門家に依頼することが多い

差額の基となる新規地代の算出には、これまでご紹介してきた「賃貸事例比較法」や「利回り法」等の方法を用いて計算する必要があるため、一般の方が計算を行うのはなかなかハードルが高いのではないでしょうか。そんな時は、地代の相場や適正な地代の計算に詳しい専門家に相談するのもひとつの方法かもしれません。

相当の地代とは(新たに設定する借地権の場合。旧法借地権は該当しません)

現在の借地権の多く(旧法借地権)は「そこに建物を建てて住んでいいよ」という地主様の好意から始まったものが多く、「権利金」の授受など無いまま自然発生的に始まり現在に至っているというものが少なくありません。権利金とは、借地権を設定する時に、設定する対価として地主様に対し支払う借地権相当額のことを言います。好意から始まった借地権(ほとんどが旧法借地権です)では、この「権利金」を支払ったというケースはほとんどありませんでしたが、新法の借地権(平成4年8月1日に施行された借地借家法)以降、新たに借地権を設定する場合、この権利金の授受を行わないと思わぬ税金が課せられてしまうことがあるので注意が必要です。

権利金の授受がないと贈与になる?!

大昔の借地権では自然発生的に始まった契約(契約書もないことが多い)が多いため、この権利金を授受しているケースは稀です。ただ、現在ではこの「権利金」の授受を行わずに安い地代で貸し借りをしてしまうと、地主様から借地権者への「権利金の貸付」があったと認定されたり、また、もらっている地代が「相当の地代」より安い場合には、「相当の地代」と「通常の地代」の差額を「贈与」とみなされ「贈与税」が課せられてしまうということもあるので注意が必要です。

権利金の授受をしない時は相当の地代を設定しましょう

一般的には権利金と合わせ通常の地代を支払いますが、実際には親族間や同族会社での借地契約の場合、権利金のやり取りをしないケースも多いと思います。そんな時は「相当の地代」を設定しましょう。

権利金がある場合の通常の地代の計算方法

通常の地代 = 土地の価額×(1-権利金の額)×6%

※権利金の額は、借地権を設定することで減歩する額。財産評価(路線価)における借地権割合を基準にすることが一般的です。

相当の地代の計算方法

相当の地代 = 土地の価額×6%

相当の地代は、権利金の部分である借地権価格相当分も含めた土地全体に対しての地代を支払う必要があるため、上記のような計算式となります。権利金は土地の価額に対して6割〜7割(借地権割合によります)と高額なため、借地権を設定したいけれどまとまった権利金を用意することができないというケースもあると思います。そういう場合には、この「相当の地代」という方法で、毎月の地代に権利金を含めるような形で設定することによって利用できるケースが増えるのではないでしょうか。

まとめ

借地権は一度契約(更新)をすると20年(又は30年)という長い契約関係が続きます。一度決めた地代が相場より高かったり安かったりした場合、長期間にわたってある意味損をしてしまうため、自身が払っている地代が適当なのかを知っておくのは重要なことでしょう。また、周辺の環境の変化や物価の変動により不動産の価格が上昇(又は下落)することで、結果的に今払っている地代が高すぎたり(又は安すぎたり)となってしまうことも考えられます。

地代の相場を定期的に把握しておきましょう

一度決めた地代が高すぎ(又は安すぎ)となっていないか確認しておくのは大事です。一般的に適正な地代の目安を計算する際には固定資産税・都市計画税の税額をもとに計算をしますが、この税額の元となる評価額の見直し(評価替え)が行われる3年ごとにチェックするのはいいタイミングでしょう。

地代の見直しをお願いしてもいいのでしょうか?

借地権は不動産の売買のように売買代金を一回支払えば関係が終了するという取引ではなく、20年、30年ごとの更新を経て、たとえ代が変わったとしても地主様と借地権者との関係が続く契約です。事情が変われば地代も変わるということを法律(借地借家法第11条)でも想定しているくらいで、地代の見直しについてお願いをする権利は、地主様・借地人様共に持っている権利ではあります。ただ、一方的に地代を上げたい(又は下げたい)と言っても相手が応じてくれなければまとまりませんし、その後も長い付き合いになるのでなるべく波風を立てたくないと考えるのが心情でしょう。それでも、今の地代があまりにも相場とかけ離れている場合は、見直しを打診してみるほうがよいでしょう。タイミングとしては、3年ごとの固定資産の評価替えの時や、借地契約の更新の時などです。評価替えの時には、税金が3年前に比べてこれだけ上がった(又は下がった)と根拠がはっきりとしているため、お互いに納得しやすく、相手にも理解してもらえる可能性が高いのではないでしょうか。

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借地権の売買を専門で行っている新青土地コーポレーションでは、借地権・底地の各種相談を承っております。

  • 今の地代が適当か分からない
  • 地代を上げたいけどどうすればいいの?
  • 借地権者が地代を払ってくれない
  • 地代の値上げを断ったら契約を解除すると地主様に言われた
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  • 地主様が地代を受け取ってくれない
  • 地代の金額をめぐり供託をしています。売却できるのでしょうか?

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よくあるご質問

  • 今の地代が適正かどうかは、どうやって調べればいいですか?

    最も一般的な目安は「公租公課倍率法」で、固定資産税・都市計画税の年額の、住宅地であれば3〜5倍程度、商業地であれば5〜8倍程度が目安とされています。このほか、スライド法、賃貸事例比較法、利回り法、差額配分法などの計算方法もあり、状況に応じて使い分けます。借地人様は評価証明書を取得することで、地主様が納めている固定資産税・都市計画税の額を確認することもできます。

  • 地代の値上げ・値下げの見直しを相手に打診してもよいのでしょうか?

    事情が変われば地代も変わるということは借地借家法第11条でも想定されており、地代の見直しを求める権利は地主様・借地人様どちらにもあります。ただし一方的に求めても相手が応じなければまとまりません。固定資産の評価替え(3年ごと)や借地契約の更新のタイミングは、根拠が示しやすく、双方が納得しやすい時期といえます。

  • 借地権者が地代を払ってくれません。どうすればいいですか?

    地代の不払いが続く場合、契約解除に至る可能性もありますが、まずは支払いが滞っている事情の確認や督促など、段階を踏んだ対応が必要です。供託が絡むケースなど個別の事情によって対応が異なりますので、当社までお気軽にご相談ください。

  • 「相当の地代」とは何ですか?

    新たに借地権を設定する際、権利金の授受を行わずに安い地代のまま貸し借りをすると、贈与とみなされ贈与税が課税されることがあります。権利金の授受をしない場合に、その分を地代に含める形で設定するのが「相当の地代」(土地の価額×6%)です。なお、この考え方は新たに設定する借地権が対象で、旧法借地権には該当しません。

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